mrbq

なにかあり/とくになし

遠い花火

夕方まで家でひいひいと原稿を書いていて、
なんとかかたちになったので
ほうほうのていで外に出て
渋谷に向かう電車に乗った。


七夕でにぎわう阿佐ヶ谷駅はともかく
浴衣や着物姿で総武線に乗っているひとたちが目立つ。


はて
このひとたちはどこに行くのかしらと思ったら、
今夜は神宮の花火大会なのだった。


花火か。


最後に見た大きな花火は隅田川


知人からお誘いを受けて
隅田川の向こう側から見た。
岸野雄一さん主宰の宴席だった。
土曜日の夜に気軽に出歩けたということは
ぼくが無職だったころだから
もう10年以上前?


座って「たまーやー!」と見ていたら
遅れて来て隣に座ったひとがあり、
顔もろくに見ずにごあいさつしたら
あがた森魚さんで
びっくりしたという記憶がある。


ぼくのたった一度の
あがたさん接近遭遇(ライヴは除く)。


そのことばかりをいまだに覚えていて
肝心の花火の華やかさについては
今ひとつ思い出せない。


あるいは
そうやって
ぱあっと散って
記憶からも消えてしまうのが
花火ということなんだろうか。


毎年
神宮の花火の音は
お店で仕事していても
遠くからこだまでドーンと聞こえたりするのだが
今年はそうでもなかった。


気のせいかな。
東京の空気が
変わったのかもしれない。