mrbq

なにかあり/とくになし

リオ

カーズ2」を公開したばかりなのに
もうピクサーの新作アニメかよと思ったら
全然違った。


人物の造形が違う。
男性の顔が
ラズウェル細木の描く中年みたいな感じ。


ブラジルを舞台にした
弱気でナードで
空を飛べないアオイロインコのアドヴェンチャー・ストーリー「リオ」は
アイス・エイジ」などを制作した
ブルースカイ・スタジオの新作だった。


アン・ハサウェイが女インコの声優を務めているときいて
興味半分で見始めたのだけれど
これがおもしろいのだ。


ワールドカップとオリンピックを控えて
いよいよ盛り上がりを見せているブラジルと
アメリカとの共同制作。


出資があっただけでなく、
脚本家やスタッフにもブラジル人が起用されているそうだ。


そのせいだろうか。
リオの街並(スラムも含め)や
ブラジルの自然がきめ細やかかつ色鮮やかに描かれているし、
サンバをベースにしたサウンドトラックもすごくよくて
ストーリー展開に陽気で軽快なテンポを与えてくれる。


サントラの総監督は
セルジオ・メンデス
なるほどね。


ウィル・アイ・アムが
声優でカメオ出演
ふむふむ。


性善説に偏りすぎないストーリーも
心地よいものだった。


ぼくの買いかぶりかもしれないが、
ただ手放しに自然回帰だけを訴えるのではなく、
人間の営みが生む
街の灯りやにぎわいも
捨てがたいものだと感じさせてくれる部分もあって。


この映画
日本公開も予定されていたそうだが、
なぜか見送りとなったらしい。


題材が
エキゾチックすぎると思われたかな?


もっとも
日本用に予定されていた邦題は
「ブルー 飛べない空へ」という冴えないものだったというから
それじゃ大当たりは見込めなかったかも。
気持ちがブルーになっちまいます。


たぶんDVDはそのタイトルで出るんだろう。
残念です。


それじゃあこの映画の
総天然色な魅力も
全篇を覆うリズム感も
全然言い得てないし、
だいいち
ブラジルに行きたい気分が盛り上がらないだろう。


今のディズニーランドの
リニューアル版「魅惑のチキ・ルーム」に行くくらいなら
この「リオ」を繰り返し見たほうが
何倍もいい気分になれる。