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なにかあり/とくになし

本年もよろしくお願いいたします

1月1日深夜1時。
鷺宮神社に初詣。


賽銭。
一礼。
柏手、パンパン。
お願い(むにゃむにゃ)。
一礼。


おみくじは「中吉」。
ありがたい戒めが書き連ねてあるが
あいにく「大吉」以外は忘れたい性分でして。


初日の出はスルーして
午後から新宿。
幕末太陽傳」@テアトル新宿へ。


元旦に見るならこれと
最初から決めていた。


デジタル修復版と銘打っている割に
それほど「鮮やか!」とは思わなかったけれど、
前に見たのがもう二十年は昔で
しかもレンタルビデオのVHS。


そう考えると
大きなスクリーンで
しかも21世紀にロードショー公開で
この映画が見られるということに
やっぱりそれなり以上の感慨はある。


あらためて思うのは
川島雄三監督が
主役にフランキー堺を据えたセンス。


フランキー堺のイメージにある
ペーソスあふれるコメディアンというのとは
ずいぶん違う、
クールでニヒルなリアリストで
死の影すら漂うという人物像を見出したその慧眼に
やっぱり脱帽してしまう。


ひとを信じるなんてとんでもないことだとうそぶき
ひょうひょうと野暮な世間を立ち回り
それでいて
数々のトラブルを鮮やかに解決する
フランキー堺演じる(居残り)左平次のありようが
時代劇というフィクションのなかのピカレスクロマンではなく
2012年の現実のことだったらいいのに。


それとも
今はもうみんな
つぶやきやささやきや後ろ指だらけで
左平次みたいにからっと図太く生きるには
肝っ玉がいくつあっても足りないのだろうか。


思いのほか
今この時代の日本で
幕末太陽傳」に感じるものは大きかった。
昔見たよりも
もしかしてずっと。


こういうカラッとしたリアリズムこそが
本当の意味での
日本人の伝統であってほしいとすら思う。


あんな漢字一文字とかじゃなくて。


あと、
こんなに痛快な映画なのに
2回ほど、どうしても泣けてしまうシーンがあって。


それはですな……
なんて
こんなところで言うのもアレなんで
劇場公開中に是非みなさまも足をお運びください。


そしたら
ぼくと
いったいこの映画のどこで泣いちゃうのか
話をしましょう。


はじめて観るというひとは
幕末や遊郭古典落語に関する知識がちょっと必要なので
こちらで予習もどうぞ。
STORYのところ、読んでから観ても問題なく楽しめます。


では
本年も
よろしくお願いいたします。