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なにかあり/とくになし

三匹の猫と一匹のドラマー その5

いつからだったかな。
この家を日本人たちがちょくちょく訪れるようになった。
どうやら相手はレコード屋らしく
最初はドラマーは手持ちのレコードを何枚か売ったりしてた。
そのうち
もちろん彼らからのリクエストでもあったんだけど
ヒマな時間を見てドラマーは
彼らが知らない近所の店やフリーマーケットを案内してあげようって思いついたんだ。
そのほうが
自分にとっても
彼らにとってもおもしろい発見がありそうだ。
実際
インターネットどころか電話帳にもロクに載ってないような店をドラマーは知っていた。
だってそれが彼の一番のよろこびだから!
そうそう
おもしろいことがひとつあった。
彼らをこの家の地下(レコードや雑貨だらけの)に案内しようとしたときのこと。
どこからか大きな蜂が舞い込んできてね
ドラマーは蜂が大の苦手だったから
殺虫スプレーをがんがんに撒き浴びせて
「ビー! ビー!」ってわめきながら
来客にも飛沫がひっかかるほどのてんぱりぶりで
それはもう大パニックだったらしい。
その話
しばらくおたがいに大笑いの語りぐさになっていたよ。