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なにかあり/とくになし

三匹の猫と一匹のドラマー その6

ドラマーはドライバーを買って出て
ほうぼうのレコード店を案内した。
それが先方には結構好評で
そんなやりとりが何年かつづいた。
そのうち
その日本人のうちのひとりが
ドラマーにこう言った。
「この家に泊まってもいいかなあ」
ドラマーはその申し出をとってもよろこんだと思う。
たいしたもてなしも出来ないけどと答えたら
レコードをたくさん聴いて
きみと話が夜通し出来たらそれが最高の勉強だってその日本人は言った。
こうしてしばらくして彼は大きな荷物を抱えて
この家に転がり込んできた。
何泊かするらしいから
わたしたちにとっては
めずらしい来客ってことになる。
わたしはもう全然そんなの気にしない。
だれがいようが
わたしがこの家の一番だから。
かわいそうなのはメグだ。
あの人見知り
しばらくどこからも出てこないよ。
いくつか夜が過ぎたころ
日本人がようやく言ってた。
「今日、メグの尻尾が見えたよ」って!