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なにかあり/とくになし

みかんはいつもこたつに乗っている

月曜の朝。


昼の便で東京に戻り、
そのまま店に出る予定。


ぼくたち夫婦が寝室代わりに使わせてもらっていた座敷の
襖などを張り替えする業者さんが来るということもあり
早々に帰る準備をする。


ふとした拍子で
母親が仏間の奥から
一枚の古い白黒写真を取り出して見せてくれた。


それは
ぼくが今まで心のどこかで見たがっていて
でも絶対に見ることなんかないだろうと思い込んでいたものだった。


その写真のことを
今ここに書くことはできない。


だけど
見た瞬間に
すぐにわかった。


ぼくの血の源流。


いつかこの写真からひろがる話が
書けたらいいと思う。


そのかわりに
実家のこたつに乗っていたみかんの写真を。
時代は変わっても
子どもがおとなになっても
みかんはいつもこたつに乗っている。