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なにかあり/とくになし

ラブフロムボーイ

夜に末広町へ。


カバンのなかには
渋谷のTSUTAYAで買ったばかりの
イシデ電「ラブフロムボーイ」1巻(朝日コミックス)。


イシデ・ファンからすれば
「月光橋はつこい銀座」から数えて
約3年ぶりの新刊。


ずいぶん待たされた気もするが
待たされた甲斐はある濃密さになっている。


濃密というのは
ひとつひとつのお話が
それぞれ40〜50ページくらいずつあるせいだけじゃない。


彼女のペン先から生まれる漫画には
キャラクターも背景も
いちいち気持ちがこもりすぎるくらいこもっているから。


ほおっておくと勝手に動き出しそうなものたちを
「あんたたち、あたしの言うこと聞きなさい!」と
作者自身も
作者の生み出したキャラクターと本気でやりあって
結構生傷だらけになっているような気がして。


そういう濃厚さは
「私という猫」にしても
「月光橋はつこい銀座」にしても
彼女の作品には一貫してあるもので
ぼくみたいな中毒者にとってはそれが今回も至福だ。


渋谷から末広町までの車中で、
結局
最初のエピソードである
「世界の終わりの、そのあとで」すら
読み終えることが出来なかった。


末広町の地上に出たとき
なぜだか無性にXTCが聴きたくなった。


XTCの音楽的天才な部分じゃなくて
生きるのがヘタな者たちの姿を
音をいっぱいに詰めて表現するようなところを
思い出したのかも。


「キング・フォー・ア・デイ」とか
すごく聴きたい。