WE BUY RECORDS

確かあの街にもいい店があったはずだと
昨日の店主に教わって
電車で一時間ほど南にくだってみた。

駅からタクシーに乗り、
一方通行の道をぐるぐるまわって
お店に着いた。

あら、あるわあるわ。
いいレコード。

雑然とした店内には
ところ狭しと中古レコードが詰め込まれている。

あるあるあるある……あれあれあれあれ？
ちょっと（いや、かなり）値段高くない？

店主はわるいやつではなさそうだけど
ビジネスとして考えると
ちょっと割にあわないなあ。

手ぶらもシャクなので
結局10枚ほどを選んで会計。

「おれの知り合いがここからちょっと行ったところに
　レコード屋をはじめたんだ。
　よかったらそこも寄ってみないか
　タクシーも呼んでやるから」

値段は強気だが
気は良い店主だった。

そして着いたのは
確かに最近出来たばかりの店らしい
こざっぱりとしてキレイなレコード屋。

青いドアに描かれた
「WE BUY RECORDS」の文字がまぶしい。
それは不思議な魔法の呪文。

「こんにちは。
　あそこの店のひとに教わってきました」

「ああ、そう！　うれしいね！
　紅茶、飲む？」

この店は、当たりだった。