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なにかあり/とくになし

その店は階段の上

駅から石畳の道を5分ほど歩く。


ちいさなショッピング・モールの入口に
「レコードあります」という意味の看板が出ていた。


なかは吹き抜けで
二階が回廊式になっている。
その二階にレコード屋はあった。


この街に着いた時点で
すでに荷物(トランク+レコード)が結構な重量になっていたので
「エレベーターはないか」と一階の肉屋さんに訊いた。


「あるわけないだろ」


そりゃそうね。
古い建物だもの、見りゃわかるよね。


上を見上げて
途方に暮れた。


ん。
でも上がんなくちゃなんねえ。


ふうふう言いながら荷物ともども2階にあがると
まだ店は開いていなかった。


そのうち
ジョニ・ミッチェルミア・ファローを足したような顔の
妙齢の女性がやってきて鍵を開けた。


そのままバーゲンのレコードを表に出したり
開店準備を手伝って
一番乗りの客として買付をした。


6畳くらいのちいさな店だが
レコードは質も量も充実している。


途中で
「紅茶飲む?」と訊かれ
「もちろん」と答えた。


写真は
おなじ2階にある
彼女がお茶を買ってきてくれたカフェ。


いいレコードと
おいしいお茶にありつくために
ぼくらは今日もひいこらと階段をあがる。