mrbq

なにかあり/とくになし

ア・デイト・ウィズ・バンヒロシ その9

階段をのぼれば
そこは「100000t(十万トン)」。
2階にある店内に足を踏み入れると
なかは意外と広々としている。


流れていたのは
XTC


このアルバム、
出たときにすごくよく聴いた記憶があるけど
なんだっけ?


たぶん
「オレンジ&レモンズ」か
「ノンサッチ」か
そのどちらかの終盤だ。


バンちゃんもおすすめの
京都で今独自の雰囲気を作りつつあるお店。


レコード、CDだけでなく
古本にもスペースを割いて、
レア盤ばかりですよ、みたいな威勢は張らず、
おもしろいものを探してごらん(きっとあるから)と
無言で語りかけるような、
そんな感じを目指しているのかなと思う。


ずいぶん昔に見かけたきりで
ひそかに探していたオーストラリアの変態バンドのLPと、
中田喜直の子どものためのピアノ曲LPを買う。


古本も二冊。
勝田文「あいびき」(漫画)と
茂出木心護「たいめいけんよもやま噺」(旺文社文庫)も買う。
帰りの新幹線で読む本が
ちょうどほしかったところ。


会計を済ませ
また来るぞと心に誓いながら店を出ようとしたら
カウンター脇の壁に
ナイスなレコジャケ風アートワークの展示を発見。


京都在住のイラストレーターで
お坊さんでもある中川学さんの作品が飾られていたのだ。
よいですね。


100000tを出て
今度はバスに乗り
しばらく北へ。


バンちゃんおすすめの
レコード秘密スポットに向かう。


途中
話に夢中になっていたら
バス停を乗り過ごすハプニング。


バンちゃんに
京都ロック秘所をこうやって案内してもらうなんて
考えてみれば
ぼくにはひどくぜいたくな話だ。


着いてみたら
確かにそこは
外からは中古レコードを扱っているとはわからないお店。


ははは、あるわあるわ。
なかに入って思わず笑ってしまった。
収穫と言えるほどのものは今回はなかったけど
意外性という意味では興奮した。


次来るときは
ご近所で行列ができていた
豆大福も一緒に買おう。


ふたたびバスに乗って
河原町三条に戻り、
ひさびさにWorkshopへ。


苗村さんにごあいさつ。
レジ脇には
ほしよりこの直筆サイン。


ザ・フーの「ハッピー・ジャック」のUK盤7インチを買う。
今度でかい音で
キース・ムーンのドラムを聴こう。


そんなわけで
一、二時間ほどだったが
ふたりで貴重な時間を過ごしたところで
バンちゃんがひとこと。


「さて
 じゃあお茶でも、
 プリンでも、しますか」


おお、プリン。(つづく)


ア・デイト・ウィズ・バンヒロシ その9 松永良平