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なにかあり/とくになし

ぼくはあわてて

正月休みの気分をちょっとだけぬぐって
一足だけ先に渋谷に来た。


正月休み中に
ハイファイに届いたオーダーの処理を
先に済ませておく。
そうしないと
明日4日の仕事始めが
てんやわんやで仕事にならないのだ。


ハイファイのあるビルの一階には
名の通った靴屋さんがあり
お正月からバーゲンでごった返しているが、
3階まであがるとその喧噪は聞こえない。


しんとしたまま仕事をするのも何なので
小西康陽さんから
ハイファイ・レコード・ストアの年末プレゼント用に選曲してもらった
「これからの人生。」を聴く。


夕方まで仕事して帰宅。
途中で
三好銀「いるのにいない日曜日」(BEAM COMIX)
長野香子「ノラ猫の恋」(BEAM COMIX)を買う。


三好銀の漫画、
いきなり既視感があり
おかしいなと思ったら
90年代初頭に「スピリッツ」で見かけた作品だった。


子どものいない夫婦ふたりに猫一匹。
うちと一緒の設定だが
ちょっと話の中に入り込めない。


ちょっとドライな感情の描写が
90年代初めの気分なのだろう。
あの時代を懐かしいと思いたい回路が
あまりぼくの中にないのかもしれない。


「ノラ猫の恋」は
タイトルとは違って猫は出てこない。
宇仁田ゆみ系のあらさとまるさが共存した絵柄、
タイプだ。


失踪した父親に呼び寄せられた娘と
その父のかつての恋人だったオカマが
夏の青森で一軒家で。


ぐいぐい読ませる。


今の気分は
「ノラ猫の恋」に軍配をあげた。


帰宅すると
一枚の年賀状が届いていた。


readymade-v.i.c.が始まります、とある。


始まりますどころではない。
レディメイド2010年を飾る新レーベル、
オフィシャル・サイトは元日から始まっていたのだ。
人気だった「レコード手帖。」も復活しているそうじゃないか。


手を伸ばし
発車した急行にうしろから飛び乗るようにして
ぼくはあわてて
最初のページをクリックした(めくった)。