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なにかあり/とくになし

たむけ

渋谷駅のキオスクで「週刊ファイト」の最終号を買う。
1967年から続いていたこのプロレス紙は、この1990号で終巻となる。
他のプロレス/格闘技専門誌と違って、
この大阪発行の「ファイト」タブロイド新聞の体裁を一貫して取り続けていた。


ぼくはプロレスや格闘技の試合を生で見なくなって久しいし、
他の専門誌も買っていない。
そんな“丘サーファー”状態にあっても
「ファイト」のゲリラ的でスキャンダラスな精神と
批評をともなった愛情が好きで、
これだけはここ数年欠かさず買い続けていた。


レジのおばちゃんにお金を払おうとすると
「ファイトね、終わっちゃうのよね」と言われた。


「でも売れなくなったからオシマイなんですよ」


「あら、好きなひと多かったわよ」


そうなのか。
キオスクのおばちゃんの言うことは信用できる。
この場合は、最後のひとことが効いている。
“好きなひと”だと、一目見てわかるひとたちが買っていたのだろう。
さりげない“たむけ”の言葉だ。