くしゃみ・イン・ロンドン
ロンドン2日目。
これまで曲名や知識の中でしか知らなかったロンドンの街が
実体をともなって迫ってくる。
朝まだ早いハイドパーク。
きみはハイドパークで野鳥の鳴く声を聴いたことがあるか?
ベンチに座り、思わずテレコを回す。
白鳥にインタビューする。
見たこともない小さな鳥が「ケケケ」と奇声をあげた。
朝10時半にノッティングヒルのレコード屋で待ち合わせ。
今日一日で、買ったレコード5軒で67枚。
きみはレコードを持ち帰らなければいけないという不便を
考えたことがあるか? あ、きみじゃなくておれか?
明日は箱を調達しなければならないな。
ベイズウォーターの駅前で、
赤くて大きなトランクを25ポンドほどで売っている(格安!)。
帰るまでに、それを買ってしまうかもしれない。
ポートベロの通りで
パナマ帽をかぶった黒人のおじさんたちが
何やら立ち話。
その会話のリズムこそがカリプソだ。
「タイム・アウト」誌の最新号が今日発売になり、
「ロンドンを作った50の名曲」という特集が組まれていた。
これもタイミングの作る奇跡のひとつだと勝手に信じる。
くしゃみ数回。
お茶おかわり。
憂鬱な曇り空のロンドンで、
ぼくは全然憂鬱じゃない。