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なにかあり/とくになし

追憶の「大勝軒」東池袋店 その1

東池袋。日曜日、朝10時。
行列はすでに20人。
先頭では、朝7時から並んでいるという常連さんたちが
テーブルを出して酒盛りに興じている。


20年近く昔にさんざん見慣れた光景とは言え、
その人気の根強さに舌を巻く。


東池袋のラーメン屋「大勝軒」がこの2月いっぱいで
閉店するという噂を聞きつけ、
ツマと弟と一緒に馳せ参じた。


ぼくが東池袋に住んでいたのは
1987年から89年までの3年間。
大勝軒」は徒歩1分の距離にあった。


今のようなラーメン狂騒曲の時代ではなかったが、
当時も行列は長く、
昼3時までの営業だが、たいてい2時半には打ち止めになっていた。


近所に住んでいるヒマ学生だった身分もあって、
ぼくが見いだしたワザは午後1時前のすき間攻め。


サラリーマンたちの昼休みが終わる時間帯に、
列がふっと短くなる。
その瞬間を狙えば、うまくするとほとんど並ばずに入ることが出来た。


受験で上京していた弟がぼくの家に下宿していたときも
よく連れ立って出かけた。


魚系のダシを使った濃いめのスープと
ちゃんぽんにも似た太メンのカップリング、
そして、メンを湯通しして出すことによりつけ汁の冷めを防ぐ
通称“あつもり”に、ぼくたちは狂った。


弟がしみじみと言う。
「最初は変わった味だなあと思う。
 でも一週間もすると忘れられなくなる」
それが「大勝軒」の味。


のれん分けに鷹揚というか、
各地に「大勝軒」の看板を掲げた店があるが、
その店ごとにスタイルが違うというか、
オリジナルの“あつもり”が食べたければ
結局、東池袋に来るしかないというのも不思議なところだった。


また、300グラムを超えると言われる?の量も
大きなセールスポイント。
その倍、つまり600グラム超と推定される大盛りに
学生時代4回ほど挑戦したが、ついに完食したことはない。


どうも「大勝軒」のことを書き出すと
話が長くなりそうだ。


朝10時30分過ぎ、行列が動き出した。
今回は、ひとまずここまで。
明日に続くとする。