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なにかあり/とくになし

なんばなんばしよっとか

“なんば歩き”という言葉が流行っている。


ひとは歩くときに
右足と左手、左足と右手を交互に前に出すけれど、
江戸時代は右手と右足、左手と左足を一緒に出していた。
何でも、江戸時代の火事の絵で、
逃げる群衆の手足を見ても、そうなっているらしい。


実はこの方が力が出るし、
侍が刀を抜くときの動作としても理にかなっている。
動物の四足歩行を見ても、同じ方の手足が前に出ている。
考えてみれば、哺乳類として
人間の二足歩行の方が、もともと無理があるのだよ。


……というような理屈から、
これを一種の健康法としてプレゼンする動きがある。


それがすなわち“なんば歩き”。


そんなバカな。
右手と右足を一緒に出すなんて
卒業式で証書を受け取るときに緊張してやったときだけだよ。


とは言うものの、
タダで出来る健康法なら大歓迎よと
人目につかない小道だけ、なんば歩きしてみた。


感想。
風が強い日はやばいな。
踏ん張れないので片側に倒れやすい。
刀を抜く真似をおもむろにしてみると、
確かに抜きやすそうではあるな。


考えないで歩いていると
ついつい右手と左足になってしまうので、
結構気を使う。


現代人には、
健康よりも、むしろ頭の体操として効くのではないかと。


しかし、この“なんば歩き”語源はよくわからないが、
大阪の難波を歩いてるひとにはいい迷惑な話だろう。


九州の実家でそんな歩き方しようものなら、
「なんばなんばしよっとか!」(母、一喝)となる。
まどろっこしいね。


と、ここまで読む前に部屋で歩き試しをしてしまった方、
あなたの負けです。何となく。