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なにかあり/とくになし

アンチョビに抱かれたい

ピザを初めて食べたのは
24歳の春だった。


ピザも無いような田舎に住んでいたのか。
いえいえ、単にチーズが苦手だったのだ。


風邪を惹いて寝ているひとのお見舞いに行ったときに
外にも出られないしピザでも頼もうかという流れになり
心中はギクリ。


食べられるのか、それ?


食べられました。
今でも思い出せる。
PIZZA-LAのイタリアン・バジル。
トッピングはアンチョビで。


このとき、溶けたチーズなら食べられるということに
初めて気がついたのだった。


そんな都合のいいチーズ嫌いがあるかと言われるかもしれないが、
いまだに固形は食べられない。


ちなみに、そのとき一緒に好物になったのがアンチョビ。
スパゲッティでも作ろうものなら入れ放題を希望する。
塩辛いことこの上ないが、
甘ったるいよりマシではないか。


アンチョビに抱かれたい。
いや、正しくは、巻かれたい。


缶詰で売っている
巻いたアンチョビは
異次元への入り口かと思うくらい素敵な食べ物だ。