しまりたて
発車間際のベルが鳴る。
そんな電車に飛び乗ってはいけない。事故のもと。
言われなくてもわかってます。
だけど、間に合うか間に合わないかというタイミングでの
寸前ダッシュをひとがやめられないのは、
「ここで乗り遅れたらおれの人生どーなる?」と
どこかで人生ゲームとダブらせているからだろう。
という感じで、ぎりぎりセーフ、いや、ぎりぎりアウトで
中央線に飛び乗った。
案の定、車掌は怒る。若い声。
「お客様、閉まりたてのドアに飛び込む……」
一瞬、間があく。
しまりたて……?
車掌さんも「ヘンなこと言っちゃった……」と気がついたのだ。
ややあって、「閉まりかけのドアに……」と修正。
恥ずかしさを押し殺すように、
2回も同じことをアナウンスした。
ちょうどJR中央線に新型車両が“おろしたて”の日でしたとさ。