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なにかあり/とくになし

舞姫の王道

山岸涼子のバレエ漫画「舞姫 テレプシコーラ」を一気に読了。
これで第一部が終了で、第二部はもうすぐ連載開始だそう。


ひょっとしてファンには周知の事実なのかもしれないが、
この「舞姫」の中では、
明らかにアシスタントが描いたと思われるキャラには
着色がない。
主役だけに色があり、それを囲む群衆はまっしろの線画なのだ。
これには驚いた。


ただ、そのことによって
確かに彼女のペンが入った主力キャラは圧倒的に際立つ。


脇キャラの造形の雑さもハンパじゃない。簡単すぎるよ!
だが、これは手抜きじゃない。
主役を見よ! というメッセージなのだ。
あえて線を間引いて、ヒロインとの間に濃淡を出す。


現代の読者の抱く違和感などおかまいなしに
彼女はスター主義という名の王道をゆく。
細部まで書き込みだらけの時代に慣れてしまった読者は
彼女の敷く王道の太さにクラクラしながら先に進まされるんだな。