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なにかあり/とくになし

プレッツェル論法

スティーリー・ダンの74年のアルバム
プレッツェル・ロジック」の邦題は
かつて「さわやか革命」といったが、
現在は、その看板をおろしている。


この邦題、昔から嫌いになれなかった。
強引過ぎて今はすごく好きかもしれない。


しかし、今日は原題の方のプレッツェルの話をする。


ニューヨークに初めて行った89年、
よく晴れた公園のスタンドで、
あのアルバムのジャケットそのままの立ち姿で
おじさんたちが巨大なプレッツェルを売っていた。


プレッツェル自体はアメリカでもポピュラーなものだが、
街角のあちこちでこうしたスタンドを見かけるのは
ニューヨークの風物なのである。


「これか!」


そう思って買い求め、
一口かじって昏倒した。
ま、ま、まずいんじゃないの、これ?


かたちはお祝い用の“のし”の結び目か、
習字の達人が書いた“ハート”マークのごとし。
細長くて(といっても直径3センチほど)
硬めのドーナツ棒を、かようにむぎゅっとねじ曲げて
そのままロースト。


問題はその味付けで、
ドーナツっぽいから甘かろうと思うのだが
実際の味付けは塩味である。


見た目と味の違いに、
とっさに味覚と知覚が抵抗した。
だから、まずいと思った。
“いちげんさん”お断りの味だったから。


プレッツェル・ロジック」、
そのタイトルの意味に込められているのは、
すなわち“ニューヨーク流”という彼らの矜持と洒落なのだが、
そこには、この塩味もちゃんと入っている。


プレッツェル ピリッとしみる 頑固者


ちなみに、市販のお菓子として製造されている
小さいスナック状のプレッツェル
ビールのつまみには最適で
今ではたいそうな好物になっている。


追記。
噛めばわかるスルメのような男になれよと
子供だったぼくに説いた父親の
本日は70歳の誕生日でした。