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なにかあり/とくになし

長崎発東京行JAL1842便

東京に移動するため、
午前9時半には大村湾に浮かぶ長崎空港


みやげは迷わず福砂屋のカステラ。


しかし、カステラと言えば、
木金堂のカステイラも捨てがたいぞと、
頭の中で誰かがささやく。


木金堂はこの世には実在しない。
かつて関西で制作放送されていた吉本系公開お笑いドラマ
あっちこっち丁稚」の中の舞台が
大正時代のカステイラの銘菓「木金堂」だった。


御寮(ごりょん、と読む)さん、こと山田スミ子
間寛平らが扮するぼんくら丁稚たちに堪忍袋の尾を切らし、
「あかん言うてるのがわからんのか○×△〒■○〜!」と怒鳴り散らすと
謎のふんどし男が平泳ぎをしながら舞台を回遊する。


あのふんどし男、
家に飼いたいものだと
ぼけーっとしているときに、ときどき思うことがある。


JAL東京行きの1842便は
今日はビジネスシートに空席があるとのことで
「千円払えばどなたでも座れます」とのアナウンス。
着いたら渋谷に戻り、
ハイファイで仕事なので、
ここは千円投資することにした。


買った文庫本は群ようこ「浮世道場」(講談社文庫)。
何故か今までちゃんと読んだことがなかった女性作家。


古典を題材に、
現代読者にその内容をかいつまんで説明しながら毒を吐いていた。
古典への親しみという意味では田辺聖子とはまた違う
突き放したような距離感があって興味深い。


男っぽい文体だが、
出て来る毒素が生理的な感覚に根ざしている分だけ、
“女”がハナにつく場面もある。
だが、男っぽい文を書く女作家は嫌いじゃない。
いい具合にウマがあえば頁も進む。


というわけで、あっという間に羽田に着いた。