11番さん

携帯が
直前に通話した相手に勝手にリダイヤルして困る
というようなことを書いた（10月5日参照）。

ならばということで、
最近は通話が終わったあと、
必ずもう一本通話をすることにした。

そのひとの名は
「11番さん」。

もし間違ってかかっても
不通になる番号を設定しておくのだ。

というわけで
「11番さん」は
ぼくの携帯履歴の最近の筆頭になっている。

そういえば、
電話と言えば、
こんな怪談を聞いたことがある。

おとことおんなの別れ話。
もつれた挙げ句、おんなはおとこの部屋を出て行った。
おとこはそのとき長期出張で家を空けていた。

「慰謝料なんて要りません。
　それよりも、あなたの家にプレゼントしておいたわよ」

数日後、
部屋に戻ったおとこは
おんなからの置き手紙を見つけた。
室内を見回すと変わったところは特にない。

ふと電話の受話器がはずれていることに気がついた。

不審に思い耳を近づける。

「天気予報をお報せします」

なんだよ、天気予報かよ。
ははん、これをかけっぱなしにして
ちょっとした迷惑をかけようって算段か。
おとこはおんなのかわい気のあるいたずらに
思わず頭をぽりぽりと掻きながら、
ため息をつき、甘い感傷にひたった。

ただし次の瞬間、
電話口から流れた言葉を聞くまでは。

「本日の沖縄地方の天気は……」

そう、おんなは
何日も長距離電話をかけっぱなしにした分の
請求書をおとこにプレゼントしていったのだ……。

以上。
豆知識としては
市外局番＋177で各地の天気予報が聞けます。

誰の話だったかなー、これ。
ひょっとしたら舞台は外国で
国際電話での話だったような気もするけど、
まあいいか。

要は、
こういうことが
ぼくの携帯でも起こらないとは限らない。
しかも自分のせいで。そりゃ自爆だ。

くれぐれも「11番さん」
よろしく頼み申し上げます。