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なにかあり/とくになし

喰らふべき音

レコードでDJすることを指して
“皿回し”と言ったりすることがある。


英語でもレコードのことを
“Plate”または“Platter”という表現があるくらいで、
この言葉は新しいものではなく、
結構昔からあるものなのだ。


食事を盛るためのお皿として
ちょうどいい大きさだという意味と
いろんな味がレコードの上には乗っているのだという
ちょっとロマンチックな比喩も兼ねている。


レコードがお皿ではなくて
食べ物だったらと考えたことがある。


というか、
音の出るミゾを彫るという作業は
他の円いもの、
たとえば、食べ物でも出来るのではないかと思ったのだ。


たとえばチョコ。
たとえばおせんべい。
たとえばたまねぎ。


一回かけただけで
ミゾがつぶれて駄目になるのだとしても
一度はトライしてみたい。


チョコレートからは甘茶ソウルが
せんべいからはハードロックが流れてくる。


たまねぎからは
何を流そうか。


「キューピー三分間クッキング」の
現在のオープニング映像は
ぼくのそういう夢とリンクして、
少しの間、しあわせにしてくれる。


まさに
喰らふべき音。