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なにかあり/とくになし

松永の良平

朝、書店で
資料を買う。


事件はささやかに起こった。


領収書を書いてもらうときにいつも
「松永の“永”はどういう字ですか?」と訊かれるので
「永久の“永”です」と告げる。


永六輔の“永”です」でもいいのだが、
昨今、通じなかったりする場合もあるし、
何よりも「“永”です」が
無意識のうちに
永六輔の口調の物まねになってしまうかも。


それはこわい。


で、「松永の“永”」だが、
何を思ったのか、
今日は自分で先走ってしまった。


本来、
「松永の“永”は?」という店員さんの問いかけがあって
初めて話題にすべき「松永の“永”」を
自分から切り出してしまったのだ。


再現。
店員「領収書のお宛名はいかがします?」
ぼく「あ、松永の(“永”は永久の“永”です、と言いかけ、頭が真っ白に)
   ……良平です」
店員「は?」
ぼく「いえいえ、松永で、お願いします。永久の“永”で」


松永の良平って……、
“みなもとのよしつね”じゃあるまいし。
おまえは源平合戦の武将か。


合戦の場所を間違えて
名乗りを挙げた武将のような気持ちになって
そそくさと店を立ち去った。


退却じゃ。ひけ、ひけー。