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なにかあり/とくになし

風はびゅうびゅう

四月一日と書いて
「わたぬき」と読む名字がある。


ふとんの綿を抜く日だよという
古いならわしからきた名字らしい。
昔、テレビの「特ダネ登場」で覚えた話。


しかし、本日は綿を抜くにはほど遠い。
風がびゅうびゅう吹いていた。
「風はびゅうびゅう」と言えば
寺尾紗穂の待望の新作で
そのタイトル曲が
アルバムの冒頭に入っている。


風がびゅうびゅう吹く中を
風に向かってひたすら歩きながら
ぼくは何も考えない。


「風はびゅうびゅう」という曲を聴きながら思う。


音楽についてああだこうだと
考えることがエラいのではなく
考えないということも反応のひとつなのだということに
あらためて気付かされる。


NHKで朝から「知るを楽しむ」を再放送しているが
昨日から植木等特集が始まっている。


今朝出ていた森永何とかという経済評論家の
植木論はひどかった。


「そのうち何とかなるだろう」を
前向きな希望の歌だと決めつけた。
ガックシ。


あれが「もうどうにもならない」という
破滅と地獄へのファンファーレに聞こえなかったら
どこで笑えばいいの?


植木等の演じた
ニヒリズムではない
陽性の虚無感について
誰か語ってくれ。


寝る前に
もう一回
「風はびゅうびゅう」を聴いた。