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なにかあり/とくになし

縦のものを横にする、横のものに縦を見る

先日、
前園直樹グループの雑誌
「うたとことば。」1号、2号をいただいた。


手刷り、ではないのだが
限りなく手作りに近い匂いがぷんとする。


文章を主体にした冊子は
文章の格調を重んじるほど
縦書きの右綴じにしたくなるものだが、
この雑誌は
おそらくあえて、
横書きの左綴じ。


英文で作る雑誌の方法で
和文を美しく見せるということ、
すなわち、横書きで日本語の文章を美しく見せるのは
実は難しい。


LPやCDのライナーノーツを読んでいても
いまだにどこかで
ちょっとだけ読みにくさが残る。


「うたとことば。」のレイアウトは
そのジレンマに挑戦している、たぶん。


それは
前園直樹グループのテーマである
日本の古い歌を
死ぬほど洋楽を聴いてきた音楽家の手で
いかにしてもう一度呈示するのかということとも
かかわりあっているのではないかと思った。


それは縦のものを横にするということでもあるし、
横のものに縦を見るということでもある。


遅すぎた発見と心残りがひとつずつ。


まずは遅すぎた発見。


表紙のイラストは
ジミー益子さんの筆によるものだと
遅ればせながら知った。


ということはつまり、
ハイファイでお年玉プレゼントを始めた
小西康陽さんのミックスCD
「これからの人生。」のアートワークに使われているイラストも
益子さんだったということだ。


うれしい。


心残りもひとつ。


新宿ジャズ&ジャイヴで
平林伸一さんに挨拶したのに、
「うたとことば。」の文章最高でしたと
言い損ねた。