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なにかあり/とくになし

面識なきお礼にて失礼します

津野海太郎「おかしな時代」(本の雑誌社)を買って
結構な時間が経つのだが、
まだ前半を読んでいるところ。


描かれた時代の濃密さと
現実のぼくの読書姿勢(電車の中とか)が
うまくスイングしない。
なので、
じわじわとしか進まないのだ。


「おかしな時代」と
近田春夫「僕の読書感想文」と
いくつかのコミックのせいで
かばんがぶかっこうに膨らんでしまうが
いつ読みたくなるかわからないから
入れておくしかしょうがない。


津野さんの文章は、
整然とした回顧録のようでいながら
不意に内心が言葉としてほころび出てくるところが
とてもスリリング。


いきなりふすまががらっと開いた。
そういう感じのドキドキがある。


今のところ
長谷川四郎の人物像が
ひどく印象に残っている。


それから本文中で不意に目に飛び込んできたのが
南陀楼綾繁さんの名前。


ぼくの記憶が間違いでなければ
昔、リズム&ペンシルを
ミニコミ関連の単行本で
紹介していただいた(はず)。


(訂正:その後、綾繁さんから
 当時、紹介をしていただいたのは
 野中モモさんというライターの方だと教わりました)


氏のブログもときどき見ていて、
去年、ぼくが関わった
朝妻一郎著「ヒットこそすべて」の紹介でも
リズム&ペンシル及び
小野瀬雅生のギタリスト大喰らい」への言及もあった。


ぼくが見知った限りで
この2冊を並びで紹介していたのは綾繁氏ただひとり。
とてもうれしい。


しかし、
もっと驚いたのは
綾繁氏の奥様が
イラストレーターでルポライター内澤旬子さんであること、
ではなく(それは知っていて)、
内澤さんが朝妻一郎さんのご親戚ということだった!


うまく言えないが
この連鎖は
朝妻本という大木から
はらりと落ちた木の葉のように
ぼくの心に残った。


綾繁さんには直接の面識もなく
何のお礼も出来ないのが心苦しいが、
とりあえず
スペリオール」巻末の目次ページで始まった
内澤さんの連載「ひとガキ」は
とてもおもしろいですと
言っておきます。