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なにかあり/とくになし

猫かずら

阿佐ヶ谷駅のホームにあがったところでアナウンスを聞いた。


「さきほど総武線三鷹駅で人身事故があり……」


オーマイガッ。
起きたばかりじゃ
しばらく復旧の見込みはないね。


ちょうど目の前に
阿佐ヶ谷発渋谷行きのバスが止まっていたので
ちゅうちょなく乗り込んだ。


動き出してから思う。
ああ、南阿佐ヶ谷から丸ノ内線副都心線でも
よかったのか。


しかしバスは中杉通りを青梅街道に折れ、
すでに環七方面に進んでいる。
あとの祭りだ。
渋谷までバスだと一時間はかかってしまうが
すいませんねと遅刻を決め込んだ。


BGMにiPhoneから
松江潤「GO GETTER」。


2005年に発売され、
あまり売れなかったと聞く
このポップメイカーにして荒くれたギタリストのアルバムを
もう足掛け4年愛聴している。


ちょっとイライラした気分と
渋谷系のはしくれにデビューした者としての血筋と
ジェフ・ベックが共存しているアルバムなんて
ほかには聴いたことないぜ。


ツマからメールで、
猫に猫ベッドを買い与えたところ
さっそく気に入って横になっているという。


猫の病状は一進一退だが、
腎不全の老猫にしてはまだ体力も毛艶もある方らしい。


今朝からは
処方してもらった口内炎の薬が効いたのか
少し元気な泣き声を出している。


ところで猫ベッド。


誰から教わったのか、
この歳になるまで
ぼくはずっと“猫かずら”と呼ぶと思い込んでいた。


今日初めて
世の中のどこにもそんな呼び名は存在しないことを知った。


あえて言えば
猫ちぐら”というものは存在する。
ワラで編んだ鳥かごみたいな猫ハウスのことで
和民具の一種として伝統があるらしい。


猫ちぐら”(口がなかなか慣れない)で眠る猫を
はやく見たいと思いつつ、
夜は代官山でDJをした。


低音をめいっぱいまで上げてかけた
ルー・リード
「ウォーク・オン・ザ・ワイルド・サイド」が
自分でもひどく気持ちよかった。