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なにかあり/とくになし

レイズンウィッチ、ロールケーキ、桜井章一

おみやげは
ミーハーなほうがいい。


今、自分が一番食べたいと思うものがいい
という意味だ。


季節はずれの帰省というわけで
朝から向かった先は
代官山の小川軒。


執事のようなたたずまいの店員さんから
レイズンウィッチを購入。


ツマは
猫を高円寺の獣医さんに預ける帰り道に
別ルートでロールケーキを買っている。


日本で一番おいしいと
どこかの雑誌が書き立てた逸品。
その評価の信頼度は知らないが、
「思ったよりも美味しいよ」と
彼女の舌は証言した。


機内で読む本は
野田昌宏「レモン月夜の宇宙船」(創元SF文庫)で
と思っていたが、
北尾トロの裁判傍聴シリーズ第二弾と
伝説の雀鬼桜井章一の勝負哲学論「勝負の格言」(宝島社)を
ついつい買ってしまった。


負け続けて
ついに三段に降格してしまったオンライン麻雀「天鳳」の
助けになればと思って手にした桜井さんの本だが、
いきなり前書きで
「99%の人は自滅している」と看破されて
機内の椅子にへなへなとしなだれそうになる。


これから実家に
命がけの勝負しに帰るわけじゃないんだからと
本を変えた。


そしたら
北尾さんの本でも
清水健太郎の公判エピソードで
Vシネ「雀鬼」で彼が扮する主役、
すなわち桜井章一が出てくるではないか!


思わず桜井本の表紙に写る
ご本人のような顔で「むーん」とうなった。
知らないひとが見たら
「渋い!」と思うか、
「腹が痛いのか?」と思うか。


あやうく
桜井さんの顔と哲学が
ぼくに乗り移って
おみやげの一品に加わるところだったと
かぶりを振ってみた。


迎えに来てくれた両親と
最後は4人で
“西日本で二番目に美味しい”というキャッチコピーを
かつて掲げていたうどん屋さんにて
“連れうどん”して帰宅しました。