mrbq

なにかあり/とくになし

骨と毛とうんち

2、3日かかるかもと言われていた
猫のお骨だが、
意外と早く
今日の午後にはお届けしますとの
電話があった。


そのことばかりを考えてもいられない。
気持ちを切り替えるときが
来ているという報せなのだろう。


お店に出勤する前に
最後をみとっていただいた獣医さんに立ち寄り、
不要になった老猫用のエサを寄付し、
あらためてお礼を言う。


不謹慎かもしれないけど、と前置きをして
一匹、里親募集中の猫を
推薦してくれた。


顔はかわいいのに
模様がぶさいくということで
人気があまりないらしい。


そういう話には
くすぐられる。


ひとまず写メをしておいて
夜にでもツマに見せることにした。


家に帰ると、
小さなつぼが置いてあった。


人間のお葬式のときによく見かける
丁重な刺繍をほどこした厚い生地の袋に
骨と箱は丁寧におさまっている。


掃き掃除をしていたら、
毛づくろいをしてあげたときの
抜け毛のかたまりもほころび出てきたらしい。


黒猫だったのに
あるじを失った毛は
すでに灰白くなっていた。


さらに
猫トイレの掃除をしていたら、
最後にしたうんちが
ころんと転がっていたそうだ。


変な話、
うんちの存在は
猫が
最後まで生きた証を物語っている気がした。


骨になって
毛も拾われ、
うんちも片付いた。


ようやく
すべてが済んだ気がした。
この話題は今日で終わりにする。


獣医さんで撮った写メを見せたら、
ツマは笑って
「名前は●●●がいいかもね」と言った。