雨の日のジョン・ブライオン
さて、
リクエストを受け付けるよ。
「フォー・ノー・ワン!」
「アイ・ビリーヴ・シーズ・ライイング!」
「ハッピー・バースデー!」(笑)
オッケー。
ええと、じゃあ、どっちだっけ(左に行く、右にはギター)。
「フォー・ノー・ワン」(ピアノ&オルガン)
次は何やろうかな。
「RADIO GA GA!」
「ハッピー・バースデー!」(苦笑)
「RADIO GA GA」とはイカレてるね。
じゃあ、そのリクエスト、
半分だけ受けたことにして……。
「プレイ・ザ・ゲーム」(ピアノ)
まだリクエストあるかい?
「ハッピー・バースデー!」(怒)
「テレフォン・ライン!」
「ハッピー・バースデー!」(怒号)
「ヴィレッジ・グリーン!」
「ハッピー・バースデー!」(絶叫)
楽しいな。
リクエスト、もうちょっと聞いててもいい?
「コルテス・ザ・キラー!」
「ハッピー・バースデー!」(悲鳴)
「ノー・マター・ホワット!」
「ハッ! ピー! バー! ス! デー!」(シュプレヒコール)
オッケー、わかった。
「ライナス&ルーシー」を左手で、
「ハッピー・バースデー」を右手で。
続けて
「ファンキー・タウン」のイントロを右手で
「ハッピー・バースデー」をヴォコーダーで。
続けて
「モア・ザン・ディス」(ピアノ)。
今日はこんな寒い雨降りで、
イーストコースト・ウェザーだね。
来てくれてありがとう。
最後にリクエストを受ける代わりに
ぼくからもひとつリクエストのリクエストがある。
パンクっぽくて
速いビートで
ギター・ソロがない曲にしてくれる?
「ブリッツクリーグ・ボップ(電撃バップ)!」
お! いいね!
でもあれ、ギター・ソロ短いやつがなかったっけ?
ジャジャジャジャジャンジャン……(口でなぞる)。
なさそうだね。
じゃ、これで!
そう言って、
ジョン・ブライオンは
ヴィブラフォンでラモーンズを演奏した。
「また来週!」
さくっと去るジョンと
その挨拶を分かち合える観客の
土曜8時のドリフのような親密さに
ちょっと嫉妬しながらホテルに帰った。
ジョン・ブライオン@ラルゴ
2009年2月6日。
ロサンゼルス、雨。
その一夜明けた残像より。