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なにかあり/とくになし

さそうさん、おめでとうございます

おくりびと」の
アカデミー賞、外国語映画部門受賞のニュースには
おどろいた。


おどろいていたら
携帯が鳴った。


「おまえはさそうさんに
 自分の本の表紙(「20世紀グレーテスト・ヒッツ」)を
 描いてもらっとるじゃないか。
 何かお祝いの連絡をしなくていいのか?」


友人は
おくりびと」はさそうさんの原作だと思っていたのだ。


正確には
さそうさんの「おくりびと」は、
映画の企画が先にあり
その宣伝を兼ねて
ビッグコミックスペリオール」誌上で
連載されていたコミカライズ(漫画化)版。


いわゆるタイアップ連載であった。


さそうあきら作品は
これまでにいくつも
映画化、テレビ化されているが、
それらと「おくりびと」は一緒ではない。


とはいえ、
映画のストーリーは踏まえているとはいえ、
登場人物などにさそうさん流の脚色は
ふんだんに行われている。


アマゾンのカスタマー・レビューも
そこを評価するかしないかで
若干割れていた。


しかし、
陰鬱で青白く
ただただ寒い東北で展開される物語を
辛抱強く描き通す筆力は
やはり並大抵ではなくて、
ぼくとしては
これは“企画に乗った”のではなく
さそうさんに“白羽の矢が立った”と思いたいのだ。


作品の重要なキーワードに
音楽が使われているということも
さそうさんをキャスティングした大きな理由だろう。


映画公開時に雑誌に掲載された
短いドキュメント漫画で
主演の本木雅弘は漫画版を読みましたと
しっかり言っていたし。


漫画版の「おくりびと」も
立派な映画の一員だ。


筋違いだろうが、かまうものか。
さそうさん、おめでとうございます。