降りる駅を間違えそうになる本とは
こんにちは。
と、どこかで見た顔が
目の前で恥ずかしそうに笑っていると
びっくりする。
その顔は
京都のシンガー・ソングライターの
安藤明子さんだった。
当たり前だが
写真で見た通りのお顔。
どうして目の前にいるのだろうと
頭の中を整理して思い当たった。
今日は東京でライヴだと
ここに書いたのはぼくだった。
彼女はそれを見て、
わざわざ
ハイファイに寄ってくれたのだ。
はじめましてとも
どうぞよろしくともつかない
あわわあわわとした
おとならしくもないあいさつをした。
残念ながら
今日はお店を抜け出すには日が悪い。
生で聴いてもらえると
いいなと思いますと
きりっとした目で
彼女は言った。
はい、いつか、必ず。
帰りの電車の中では
江森史晃・編著「音楽とことば」(P-VIne Books)をひらく。
日本人ミュージシャンによる
作詞というテーマにまつわる
こだわりや悩みを正面から問うた
ロング・インタビュー集。
現代という時間軸を意識し、
なおかつ、
職業作家的歌詞論
ありきたりな作詞技術論に陥らない人選は
こんな顔ぶれ。
安藤裕子
いしわたり淳治
小山田圭吾
木村カエラ
小西康陽
坂本慎太郎
志村正彦
曽我部恵一
中納良恵
西井鏡悟
原田郁子
向井秀徳
レオ今井
(五十音順)
車内では時間が限られているので、
まず最初に
「小西康陽(聞き手:江森史晃)」からパラパラと。
山手線から総武線に乗り換えて、
「坂本慎太郎(聞き手:恒遠聖文)」へ。
そろそろ時間切れかと思いきや、
「時間調整のため中野駅で4分停車します」とのアナウンス。
おかげさまで
「小山田圭吾(聞き手:瀧見憲司)」にも
ちょっと足を踏み入れることが出来た。
ななめ読みにつき、
細部はあとでちゃんと読み直すつもりだが、
小西さんも、坂本さんも、小山田さんも
おどろくほど率直に
受け答えをしていることに
この本の成功を感じた。
のめりこんで読んでいたものだから、
間違えてひとつ手前の高円寺駅で席を立ってしまい、
一駅早く席を譲る羽目に。
降りる駅を間違えそうになる本とは
ぼくにとっては
とてもおもしろい本なんだ。