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なにかあり/とくになし

ソングライターズ・オン・ソングライティング

引き続き「音楽とことば」(P-Vine Books)を
パラパラとおもしろくめくっている。


ミュージシャンが作詞作曲について
どっぷり語ったインタビュー集というと、
ポール・ゾロ著「ソングライターズ・オン・ソングライティング」を
すぐに思い出す。


思い出す、どころか、
実はいつもぼくの目の前に置いてあるのだが。


ぼくの手元にあるのは
増補改訂を重ねた
ダ・カーポ・プレス発行の第4版(2003年)。


洋書は厚くなりがちだとは言え、
びっしり字が詰まって700ページ以上ある。


いわゆる
縦に立つ本。


登場するミュージシャンたちは62名(組)。
ゾロ氏は約15年がかりで取材を続けていて
新しいひとにインタビューするだけでなく
必要とあらばおなじひとに
何度でも質問を試みている。


また
「音楽とことば」との違いというか、
日本語と英語の音楽圏の根本的な違いかもしれないが、
インタビューのアプローチもかなり異なる。


ゾロ氏の質問は
ひとつひとつ楽曲単位で細かく、
とても逐語的という印象が強い。


この曲はどうだった?
あの曲はどうだった?
あそこのフレーズにはどういう意図がある?


その質問を堂々と受けて答える相手もいるし、
そこから身をかわして
精神論というか気分的な話に持ち込む相手もいる。


その攻撃の受け方、かわし方にも
ミュージシャンの人柄がにじみ出てくる。


日本人は
ぼくも含めて、
よくもわるくも軽い精神論(または気分)から話に入るのが好きだ。


最初に精神的な握手をしたがるというべきか。


最初に握手か、
外人同士のように、
ひとしきりやりあってから握手か(結局握手しないか)。


どっちがいいかという問題ではなく、
日本人の場合、
インタビュアーもミュージシャンも恥ずかしがり屋が多いので
最初に握手が出来た方が
うまくいくということなのかもしれない。


ところで、
「ソングライターズ・オン・ソングライティング」は
2001年に日本語訳が出ていることはあまり知られていない。
タイトルは「インスピレーション」とシンプルに改題された。
出版はアミューズ・ブックス。


翻訳は丸山京子さんなので信頼がおけるが、
センスの無いレイアウトと
原著からの人選には大いに不満が残る。


数は膨大だし
日本人にはなじみがない名前も多いので
ある程度の絞り込みは仕方がないといても、
たとえばキャロル・キングだけを掲載して
ジェリー・ゴフィンを落とすという方法に
担当編集者は何の疑問も感じなかったのだろうか。


とは言え、
洋書を読むのは疲れる作業だし、
翻訳版の方もぼくは結構重宝しているけれど。


版元が2003年に営業終了してしまったので
現在は新刊での入手は不可能だが
ア●ゾンあたりでは中古を安価で発見出来る。
ご興味のある方は是非。
もちろん原書も是非。


日本版に掲載されたリストと
そこから除外された原著版のリストをご参考までに。


「インスピレーション」に掲載された20人(組)


ピート・シーガー
ウィリー・ディクソン
ボブ・ディラン
ロビー・ロバートソン
ポール・サイモン
キャロル・キング
ニール・ヤング
ジャクソン・ブラウン
ローラ・ニーロ
バート・バカラック&ハル・デイヴィッド
フランク・ザッパ
ブライアン・ウィルソン
ヴァン・ダイク・パークス
ハリー・ニルソン
ヨーコ・オノ
ランディ・ニューマン
レナード・コーエン
スザンヌ・ヴェガ
トッド・ラングレン
マドンナ


「ソングライターズ・オン・ソングライティング」に掲載された残りの42名(組)


ジェイ・リヴィングストン&レイ・エヴァンス
サミー・カーン
モーズ・アリスン
デイヴ・ブルーベック
トム・レーラー
ジェリー・ゴフィン
ラモント・ドジャー
ジミー・ウェッブ
ジョーン・バエズ
P・F・スローン
ドノヴァン
フェリックス・キャヴァリエ
ジャニス・イアン
グラハム・ナッシュ
デヴィッド・クロスビー
カルロス・サンタナ
ウォルター・ベッカー
ラウドン・ウェインライト三世
タウンズ・ヴァン・ザント
ダン・フォーゲルバーグ
リンジー・バッキンガム
リッキー・リー・ジョーンズ
デヴィッド・バーン
トム・ペティ
リチャード・トンプソン
ブルース・コバーン
ロス・ロボス:デヴィッド・ヒダルゴ&ルイス・ペレス
ジュールズ・シアー
ブルース・ホーンズビー
k・d・ラング
スタン・リッジウェイ
R.E.M.マイケル・スタイプマイク・ミルズピーター・バックビル・ベリー
ジョン・ハイアット
アラニス・モリセット
スティーリー・ダンドナルド・フェイゲンウォルター・ベッカー
マーク・ノップラー
ルー・リード
マール・ハガード
ロジャー・マッギン
ジョン・フォガティ
レニー・クラヴィッツ
ミシェル・ンデゲオチェロ


東村アキコ海月姫」1巻(講談社コミックスKiss)
おもしろい。
こんな下に書くなよって。