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なにかあり/とくになし

侠気と夢

明日、
というか、これを書いている今(27日)はDJ


DJをするときに
どれぐらいのレコードを持ってゆくか、
ひとによって適量の度合いはあるだろうが、
一番美しいと思うのは
持っていったレコードをすべてかけて終わること。


出番が一時間とすれば
平均3分の曲をかければ約20枚。
2分で行くなら30枚。
きっちりでは心もとないので補欠を10枚。
シングル盤もついでに10枚。


もし天気が悪かったら?
すごく盛り上がっていたら?


そんな空気を予測してさらに10枚。


レコードが50枚にもなると
たちまち重さは15キロほどになる。
そして結局、腕が痛ーい。


かつて吉田哲人さんのDJについて
安田謙一さんが
「彼は持ってきたレコードは全部かける主義」と
絶賛していたことを思い出す。


クレイジーケンバンド
大阪・梅田で「深夜族の夜」に出演したときの話だから
もうずいぶん前のこと。


それは
下準備が周到だということを評価しているのではなく
即興や気まぐれ、脱線も込みで
すべてのレコードに出番を与える
彼の侠気(おとこぎ)を讃えたものだったと記憶している。


その一方で
ある知り合いのDJは
どう考えてもそんなにいらないだろうというほどの
レコードをいつも持ち込む。


レコードバッグだけでは足りず
袋という袋を動員し
手当たり次第
思いつくまま。


まるで自分の部屋をそのまま移動させたよう。
実際にかけるのはそこから十分の一もないかも。


でも、
そこまでやりたい気持ちは痛いほどわかる。


自分の部屋にあるレコード全部でDJをするというのも
誰しも考える究極の夢だからだ。


DJ二態。
そのどちらにも
ぼくは思い入れがある。


結局
ぼくはひとが何をかけるかには
あんまり興味がなくなってきていて、
むしろ、
どうかけるかを見ているんだと
最近気がついた。