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なにかあり/とくになし

阿佐ヶ谷と漫画と猫ちゃんと、ではありません

中野の弟が
一時期、料理ネタばかり書いていたので、
これじゃ「中野と夜と音楽と」じゃなくて
「中野と飯と献立と」だ、みたいな話があった。


しかし、
我が身を振り返れば
こっちだって
「阿佐ヶ谷と漫画と猫ちゃんと」に
なってしまっているのかもしれない。


いやいや、断じてそんなことは。


確かに
猫にも漫画にも弱いが、
一応、猫漫画には厳しいつもりでいるのだ。


子猫かわいいかわいいかわいいね、
みたいな漫画は買っていません(なるべく)。


それでも、
これは買わねばならんだろうと
瞬時で判断させる傑作が出た。


ホラー漫画家、伊藤潤二による愛と呪いの猫漫画
伊藤潤二の猫日記 よん&むー」(講談社ワイドKC)が、それ。


奇想の度が過ぎて
笑えるくらい怖いという境地をゆく漫画家らしく
おどろおどろしい描写は崩さずに、
猫の生態および飼い主の実態を
愛すべき態度で描ききっている。


伊藤さんの狼狽、
猫に好かれたいと願いながら
なかなか愛されない毎日を読み、
「これはおれだ!」と風呂にもぐりながら
思わず小さく叫んだ。


泡がぶくぶくと出た。