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なにかあり/とくになし

ニクソンは本当にあんな顔をしたのだろうか

映画「フロスト×ニクソン」を見た。


いわゆる「ウォーターゲート事件」で
政治的に失脚したものの
いまだ野心を隠さず
自らの罪も認めない元大統領リチャード・ニクソン
TVトークショーの人気ホストが行った
1977年の世紀の対決の裏表を追った
ドキュメンタリー・タッチの作品。


もともとは高い評判を取った舞台劇だった。


実際に行われたテレビ対談をもとにしているという意味では
骨格はドキュメンタリーなのだが、
そこに至る肉付けとして
若干のフィクション的要素を加え、
濃厚なドラマに仕立てあげている。


しかし、
そのドラマよりも
目をそらせないのは
やはりインタビューそのものだ。


ぼく自身
畑は違うが
インタビュアーのはしくれとして仕事をしている。


フロストの好奇心、軽薄さ、場当たり感覚、
緊張、あせり、しくじり、絶体絶命、
そして結末に至るプロセスは、
“手に汗握る”という表現で済まされる他人事ではなく
我が身を切られるような思いにかられた。


そして
これもアメリカ人らしい“商魂”と言っていいのかもしれないが、
実際に放映されたインタビューも
アメリカではDVDで発売されている。


実際には28時間行われたインタビューのうち
2時間しか作品化されていないことに
不満を述べる向きもあるようだが、
この映画を見たら
やはり手を伸ばしてしまいそうなDVDであることは間違いない。


ニクソンは本当に
あんな顔をしたのだろうか、と
誰もが確かめてみたいと思うだろうから。


フロストの魅力的な恋人役でちらちらと登場する
背が高くて口の大きな美女キャロラインを演じたのは、
ウッディ・アレンの「恋に恋するバルセロナ」で
スカーレット・ヨハンソンの親友である
堅物な地味女を演じていたレベッカ・ホール


さすがは女優。
変われば変わるもので
彼女のことが好きになりました。