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なにかあり/とくになし

現代のヘンゼルとグレーテルはどこにいますかね

ホテルの部屋を出ると
廊下に点々と
何かが落ちている。


カラフルな碁石のような
まるい点。


よく見ると
それはM&Mのチョコだった。


森で道に迷ったヘンゼルとグレーテル
道しるべにパンくずを置いていった。


ひょっとしてこの殺風景なホテルのどこかに
あの兄妹が?


赤や緑や青のM&Mを拾い食いしながら
長い廊下をたどった。


やがて
チョコはある部屋の前でとぎれた。


しばらく前でたたずんでいると
何の前触れもなくがちゃっとドアが開いた。


何と、
中から顔を出したのは
バスケットボールのユニフォームを着込んだ
ひょろっと背の高い少年だった。


「あぁん?」
ひとにらみされた恐怖で
思わず大きな音でおならをしてしまった。


バスッ!


そこで目が覚めた。
これが春のちょっとした悪夢、二晩目。


ただし、この夢、
一部だけ本当のことが入っているから
困りものです。


適当に手にした文庫本で
産経新聞文化部「わたしの失敗」(産経新聞出版)を読む。


新聞連載をまとめたもの。
なにがすごいって、
冒頭に山本一力という人選が地味だなと思ったら
とんでもない。


このひと、
年配の体育教師みたいな顔して
三度目(!)の結婚をするにあたって
つきあっていた8人(!)の女性と別れた、
なんて語り出す。


あのルックスからは想像もつかない
八つ股の男!


苦境を乗り切る参考になる、
なんてことは一切思わずに
読むことをおすすめします。