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なにかあり/とくになし

土曜、夕方、晴れ

土曜は晴れた。


告別は夕方に無事に終えた。


お店に
白シャツに黒ネクタイ、革靴という
めったにしない格好で立っていたので、
お客さんはヘンに思ったかもしれない。


ぼくは
忌野さんとは仕事をしたことがなかった。


と思っていたが、
よく考えたら、
一度だけ、
ちょっとだけ。


去年、
復活のドキュメンタリー番組の制作に呼ばれ、
サム・ムーアが忌野さんを呼び込む場面や
ティーヴ・クロッパーとルー・マリーニと
屋形船で対談する場面の映像を見ながら
彼らが話す英語に日本語訳のテロップをつけたのだ。


短い場面だし、
もちろん本人とも会えていないのだが、
たとえ“かけら”だとしても
心の中に持てたのはうれしい。


いや、
本音を言えば
大きなせつなさの残るうれしさ、だ。


そうそう。


告別式に先駆けて行われた葬儀で
大竹しのぶさんが弔辞を読んだという話を聞いて、
じっと言葉を投げかけていた大竹さんが
最後の最後に中央からパカンと割れて
松金よね子さんが出て来て
「実はわたしが吹替してました」と言ったら最高だろうなと
帰り道にひとりで失礼な妄想をした。


夜はDJ。
ひとはどう感じたかわからないが、
こういう晩に
たくさんの曲を選んでおもてなしするなんてことは
とてもとてもとてもとても無理だった。