mrbq

なにかあり/とくになし

黒ビール

味がわかる、
というほど酒をたしなんでいない。


たとえば
ワインを飲んで
「うーん、若いね」などという
うんちくも持ち合わせていない。


それでも
少量とは言え
お酒は飲み続けているのだから、
人並みに
好みというか、
注文のクセというものはあるようだ。


スーパードライは許せない、という知り合いが
まわりに結構いて、
味の軽さというか
見え透いた鋭さみたいな感じが
いやなのだという。


それは酒飲みのご意見。


ぼくは基本的に
晩飯のお伴としてしか飲んでいないから
あの軽さはちょうどいい。


最近は家では
もっぱらハートランド
しりあがり寿さんが
会社員時代に商品開発に関わったビールとして記憶している。


アメリカでは
ミラーのジニュインドラフト。
ときどきは
ブルームーンという
白ビール系にも手を出す。


苦手なのは
黒ビール、エール系の濃いやつ、重たいやつ。
黒砂糖と一緒に流し込んでいるような
あの甘苦い後味がどうも苦手だ。


それなのに
今日、フジセ(ハイファイのバイト)は
黒ビールを買ってきた。


何故、黒にしたんだと問うと、
とむらいだから、と答える。


ぼくたちの共通の知り合いの方が
亡くなったと
急な報せを受けて少し動揺していた。


営業時間中に飲んではいかんと知りつつ
飲まずにはいられなかった。
ちょうど居合わせたお客さんも
亡くなった方をご存知だったので
巻き添えにした。


黒ビールは
やっぱり甘くて苦かった。