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なにかあり/とくになし

レッツ・ゲット・シリー・アス

NHKの5分間番組「世界遺産」で
古い南米の遺跡を見ていて
ツマがぽつりとつぶやいた。


「現代の文明で
 何千年後に発掘されて誇れるものって
 あるのかな……」


鉄やコンクリート
錆びたり朽ちたりしてしまうだろう。


木造建築が持ちがいいと言われているけど、
京都や奈良の寺社仏閣は現代のものじゃない。


CDやDVDの寿命は考えているほど長くないと言うし、
PCやゲームなどが数千年後に起動出来るとは思えない。


寒暖に対する耐久性が高く
大災害があっても原型が残りそうで
なおかつ現代的なもの。
……それは何?


ぼく「便器!」
ツマ「墓石!」


50世紀ぐらいの東京で発見された杉並遺跡で
未来人はUの字の便座を持つ不思議な便器と
現代の石工によるツルツルした墓石を発掘して
彼らは何を思うかね。


そんな話をしたあとに、
MXテレビで放映中のウワサの番組
松嶋×町山 未公開映画を観るTV」を見る。


この番組、見てみたかったのだが
なかなかタイミングが合わなかった。


アメリカ在住の文筆家、町山智浩さんがセレクトした
日本未公開のドキュメンタリー映画に映し出された
アメリカ社会の現実を視聴者に伝えるという番組。


最初と最後、そして中盤に
申し訳程度に松嶋尚美とのトークが挟まれるものの、
あとはストイックに作品そのものを流す。


本編中に字幕以外のテロップでツッコミ入れたりしないし、
小窓でホストの顔を挿入したりなんかもしない。


一本の作品を一時間番組二回に分けて放映しているので
作品の紹介というよりも
ほとんど作品のすべてを見せたという勘定になる。
これは一種の電波ジャックであり
立派な確信犯なのだ。


今日は
「What Would Jesus Buy?」という作品の後半。


アメリカのショッピングモール文化がもたらした
巨大消費と地元文化の退廃、
海外の安価な労働力の搾取、
そしてその象徴としてのクリスマス商戦への抗議を
全米を回りながら行う牧師(自称)の姿を追ったドキュメンタリー。


シリアスなメッセージを感じつつ、
作品の底に流れるアメリカ社会のばかばかしさと
それを真に受けて生きる日本社会の浅はかさを
ホストがきちんと受け止めているから
よくある見かけだけの真面目番組にはならない。


“シリアス”という言葉には
“シリー(アホ)”と“アス(間抜け)”が隠れているんだから。


ちなみに来週は
超保守的信仰心が根付く
テキサス州の小さな街ラボックで
敬虔で真面目な顔をした社会の裏側で起こる
未成年妊娠問題(避妊が禁じられているため)や性病を見かねて
避妊の教育を学校でもすべきだと立ち上がったひとりの女子高生を追った作品
「Education Of Shelby Knox」。


その街の名を聞いて
ぶるっと震えた。


それは
伝説のロックンローラー
バディ・ホリーが73年前に生まれた街だった。