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なにかあり/とくになし

ミツバチの飼育

若いころに見た映画の話をツマとしていた。


「ミツバチの飼育」って映画なかったっけ?
確か中野にまだ映画館があったころに見たような気がする。


それはおまえ(つまり、おれ)
ミツバチのささやき」だろ、って。
「ミツバチの飼育」じゃ、まるで記録映画だってば。


中野の南口にあった
小さなくらい名画座
少女アナ・トレントの姿を見たのは
かれこれ20年ほど前か。


ちょっと強引ですが、
ミツバチと言えば
伊図透「ミツバチのキス」2巻(アクション・コミックス)。


作者の描きたい世界が大きすぎて
逆にSF的制約にとらわれてしまった感もあった1巻。
それでもすでにものすごくおもしろかったのに、
この2巻では、
コンセプトに縛られていた感じがなくなり
作品が外の世界に流れ出した。


結果、
もっとものすごくなってしまった。


まだ少し
読者が置いてけぼりになってしまうようなところもあるにあるけれど、
そこを親切に描き砕くことが
必ずしも作品として良いことだとは限らない。


「ミツバチのキス」がおもしろくなった、
つまり「ミツバチ」が育った、
それが頭にあったので
「ミツバチの飼育」と言ってしまったのかもしれない。


存在しない映画や
あるはずもないのに
どこかにあるのではと思える誰かの人生を思い浮かべながら
何度か読み返したくなる
そんな作品になっていた。