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なにかあり/とくになし

パティ・スミスVSココ・シャネルVSみうらじゅん、その勝者は……

メアリー・ブレア展に行く気満々で
ようやく見に行けそうな時間がとれたので
朝からオンラインチケットも購入し、
昼下がりに意気揚々と出かけた。


阿佐ヶ谷から目的の駅まで
1ミリの迷いもなく突き進む。


改札を出て、
南に向かう長い通路をずんずんと歩く。


だが、
そのうち妙な違和感におそわれた。
大人気で連日満員御礼を謳っているイベントのはずなのに
告知のポスター類が一切見当たらん。


さっきから目につくのは
ビールのポスターばかりじゃないの。


女性が入場客の大半を占めるというけど
かくべつ華やいだ雰囲気もない。


ようやくその違和感の素に気がついたのは
目の前に現れた大きなポスターにぶつかった瞬間だった。


「あ……」


失礼しました。間違いました。
ツマに謝罪。


ぼくたちがいたのは恵比寿駅で
東京都現代美術館だと信じて疑わずに向かっていたその先は
東京都写真美術館だったのだ。


あーらら、こーらら、
せーんせいに言ってやろ♪(脳内メロディ)


ほんに
人間というものは
道を間違えるときは
自信満々で間違える。


これから現代美術館に向かっても
落ち着いて見る時間が取れないということで
メアリー・ブレア展は次週以降への延期となりました。


今日はツマの誕生祝いということで
夜は中野の弟も交えて会食する予定を立てていたので、
それまでの空き時間、
映画でも見るかという話に。


パティ・スミス
ココ・シャネルかという提案をしたら
ツマが「色即ぜねれいしょん」(原作みうらじゅん)がいいと言う。


パティ・スミスVSココ・シャネルVSみうらじゅん……(ドラムロール)。


みうらじゅんの勝利(架空で勝者の右手を上げる)。


主演に抜擢された渡辺大知が
エロいことを考える瞬間に
鼻の穴が自然に大きくなるのが、
とてもよかった。


多くの意見にもあるように
存在感のある愛すべきダメ男たちを演じた峯田和伸岸田繁も素晴らしい。
臼田あさ美もかわいい。


もっと収拾のつかない
妄想炸裂映画かと思っていたら、
なんというか
てらいのない
堂々とした青春映画になっていた。
監督としての田口トモロオは
直球で押すタイプだとわかったこともうれしかった。


テーマソングになっている村八分「どうしようかな」のカヴァーは
エレック盤の「ライヴ村八分」ではなく
後年発掘された未発表スタジオ録音集
「草臥れて」のヴァージョンがもとになっている。


伝説の名盤と呼ばれている割に
ライヴ盤に煮え切らない印象をいだいていたぼくは
「草臥れて」を聴いて
脳天唐竹割りを食らったほどのショックを受けた。


そのド頭を飾る「どうしようかな」は
まさに
聴くと目から星が飛び出る凶器な一曲。


映画では峯田・岸田・村山の3人ヴォーカル版が
使用されている。


それから映画のテーマとして
繰り返し使われるスカパラみたいなインスト曲(音楽・大友良英)は
イントロのドラム・ブレイク(完コピ)といい、
レッド・ツェッペリンの「デジャ・メイク・ハー」をイメージさせる。


原曲の「D'yer Mak'er」というタイトルは
この曲がもろにツェッペリン流レゲエ、
だから「ジャメイカ(ジャマイカ)」と読むべき英語のダジャレだが、
邦題は「Did You Make Her?」を思いっきり訛って発音したのだという
解釈に則ってつけられていた。


その文意については諸説あるが、
英語的には
「おまえ、彼女とヤッたか?」という意味に受け取るのことも出来る。
そう考えると
映画「色即ぜねれいしょん」のテーマとも正しく合致するが、
ちょっと深読みのし過ぎかもしれない。


サントラ盤がちょっと欲しくなりました。


その後、弟と合流し、
飯、酒、茶→帰宅→アメトーク→沈没。