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なにかあり/とくになし

雪が降る

雪が降る。


いや、雪は降ってない。
最近の東京はあたたかいから
雪は真冬でもなかなか降らない。


しかし、
10月11日の夜には
渋谷のO-Nestで雪は降ったのだ。


テリー・アダムス・ロックンロール・カルテット(テリQ)の話を
もう少しだけ。


東京公演の2日目に
長年NRBQのライヴをいろいろ見聴きしてきた中でも
一度も聴いたことがなかった曲を彼らはやった。


それはカヴァー曲で
クロード・ソーンヒルという
アメリカの紳士的なジャズ・ピアニストが書いた
「スノーフォール」という美しいインスト曲。


しんしんと音もなく降り積もる雪を
音で表現した原曲の静けさは
ほかには代え難い素晴らしいものだが、
テリQは
原曲のメロディとコード進行を拝借して
少しつんのめり気味のスローなビートで演奏した。


その雪は
もうちょっと勢いがよくて
子どもたちが雪あそびをしたりしそうな雪だ。


そして
その遠い背景の夜空には
サン・ラーが描いた
「ウィ・トラヴェル・ザ・スペースウェイズ」も借景として
おぼろげに映り込んでいる。


ひょっとしてぼくらの知らない遠い昔に
レパートリーとしてやっていたのかしらと思い訊ねてみると
どうやらこれは新しいバンドになってから取り組んだものらしい。


そして
そういう曲はひとつだけではなく
他にもたくさんあるのだというのが
うれしいじゃないか。


ところで
「雪が降る」で思い出した。


こないだ渋谷駅近くの富士そば
腹ごしらえをしていたら、
アダモの「雪が降る」の日本語カヴァーが流れてきた。


なんとそれを歌っているのは
五木ひろしだった。


これ、
冬のDJにいいかも……。


もし五木ひろしがこの曲の7インチ・シングルを
作っているならね。


東京ではまだ雪は遠い話だが、
テリQの凄腕ギタリスト、スコット・リゴンが暮らすシカゴでは
早めの初雪がつい最近降ったらしい。