mrbq

なにかあり/とくになし

んがんぐっ、に捧ぐ

先日、
深夜にネット記事をうろうろしていたら
意外なものに突き当たった。


横長の図形に
ひとこと「サザエさん」。


何かのバナー広告かなと思って
クリックしたらAmazonに飛んで、なおびっくり。


なんとそれは
1992年に短冊ジャケでリリースされた
サザエさん」主題歌の
5インチ・シングルだったんでございます!


縦長のデザインの常識を
ひょいとひっくり返して横長に。


それだけでもすでに一本してやられているのに
さらに素晴らしいのはその内容!


ご存じの方も多いと思うが
サザエさん」の主題歌&エンディングテーマは
ともに作曲・編曲、筒美京平


そのオリジナルのアレンジが体験出来る
1969年オリジナル・ヴァージョンを収録しているのだ。


現行のヴァージョンとは明らかに異なる
素晴らしいイントロが流れた瞬間、
血が熱くなった。


そして
Amazonのカスタマー・レビューでも触れられていたが
バックの演奏、とりわけリズムが素晴らしい。
リフを刻むギターの切れ味はスティーヴ・クロッパーのようだし、
ドゥン、ドゥンとくぐもりながらグルーヴを出すベースは
ドナルド・ダック・ダンみたい。


ティファナ・ブラスからの影響は
次回予告のBGMあたりでも
つねづね指摘されていたけれど、
リズムのキモはブッカー・T&MG’sだったんだなあ。


ヴォーカル(宇野ゆう子)のエコー感は
今のヴァージョンよりも濃厚だし、
これは立派な和物レアグルーヴだった。


生まれたころから耳にし続けているものに
豊かな音楽が隠されていることのよろこびに感謝。


……あ、
えーと、これ、
サザエさん」の主題歌の話ですよ。


唯一残念なのは
カラオケのみ再録音になっていること。
オリジナルのマスターが存在していないのだろう。


忠実な再現だが、
残念ながら同じものには聞こえない。
ベースの鳴りひとつとっても別物。


あの、絶妙のグルーヴを生み出す
音のキレと音のこもりのハーモニーが消滅している。


失われた音のニュアンスって
テクノロジーがどれほど発達しても
二度と戻ってこないのだと痛感させられた。


それでも
「なにこれ? サザエさんじゃん!」と盛り上がったツマは
計4回も主題歌&エンディングを夜中に歌っていたけれど。


あんなに一生懸命歌ったら
お魚くわえたドラ猫追っかけて裸足でかけてく陽気な夢でも見るかもしれない。


翌朝、
風呂でラジオを聴いていたら
トーク番組のゲストで
磯野波平こと声優の永井一郎さんがゲスト!


びっくりして
喉が詰まって
思わず
んがんぐっ。


あ!
「んがんぐっ」も
もうとっくにやってないんだった!


失われた「んがんぐっ」も二度と戻らない。


それにしても
サザエさん」。
ロゴのフォントもつくづくいいなあ。


そんなことを考えていたら
TV Bros.」最新号は
フォント特集「嘘のようなフォントの話」。


ガムテで作る自作フォントで有名な佐藤修悦さんと
サケロックでおなじみデザイナー大原大次郎さんの対談、
おもしろかった。