直であるがゆえに乱
Americoという
いかしたガール・バンド、
もとい、
いかしたガールとつわもの野郎ふたりのトリオ・バンドを率いる
西岡由美子さんから
ひょんないただきものをした。
それは
「気刊ノーコン 3号」。
編集・発行は湯浅学さん。
発行元は乱投社。
湯浅さん宅の
インクジェットプリンターと手留めのホチキスで制作された
フリーぺーパーというかジンというか、
そういう言い方も失礼な気がする
いわば紙のかたちをとった発作の記録のような。
巻頭特集は
大竹伸朗が香川県直島で手掛けた新作というか
すべてをつくりあげた銭湯「I♥湯」の
湯浅氏渾身ルポ。
いや、これも
“ルポ”という型にはあたらない。
整理や剪定をしない
すくすくと伸びるにまかせた
字や絵や意味や無意味。
その力のゆくえをひとことで言おうとしたら
“直”だろう。
ちょく、なお、じき、じか、ただちに。
直島、
直行、
直情、
直筆、
直写、
直画、
直装。
直であるがゆえに乱。
乱ナーズ・ハイ。
湯浅さんの他に執筆者は
いしいしんじ
湯浅もなか(娘さんか?)
石井ヤスヒロ(いしいさんのご兄弟らしい)
西岡由美子(敬称略)。
そして
最後に「I♥湯」にささげるBGMとして
湯浅さんのHOT35がセレクトされている。
ストロベリー・アラーム・クロックの「トゥモロウ」が
しれっと入っているのが
ハイセンス。
この本はどこで手に入るのですかと西岡さんに訊いた。
すると西岡さんは言った。
「いやー、
わたしも執筆者ということで何部かいただいて
誰かにわたしてと言われたのでして」
湯浅さんがトークイベントのような催しをやるときに
配布されたりされなかったりするらしい、
そんなニュアンスのことを西岡さんは付け加えた。
気刊ノーコンの
“直”には
どうやら“直渡”も加わっていた。