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なにかあり/とくになし

うるさいかもしれないよ

うるさいかもしれないよ。


そんなタイトルの映画を見た。
本当のタイトルは「イット・マイト・ゲット・ラウド」。
来年日本公開されるといううわさだが
はたして邦題は何になるだろう。


この映画、
いったい何がうるさいのかというと
エレキギターの音のこと。


ジミー・ペイジが資金を提供し、
自身と
U2のジ・エッジ、
ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトという
三世代のギタリストをとあるガレージに集め、
とことんエレクトリックギター談義をするという作品だ。


ギターに興味を持つに至ったきっかけ、
お気に入りの一本、
ギター・サウンドについての考え方、
自分とギターとの関係などなどを
思う存分に語り合うかと思いきや、
映画自体は三者三様のロック人生をコラージュした構成で
語り合いはそこそこ。


でもこの映画
ロックギターにとりたてて興味がなくてもおもしろい。


その理由は
事実上この映画をプロデュースしたジミー・ペイジという男が
ギターはこういうテクニックが大事とか
このメーカーのこのモデルがレアとか
そういうつまらない博学に生きていないからだろう。


彼の自宅と思しき部屋で
大音量でかけたシングル盤、
それはリンク・レイの「ランブル」(!)で、
まるで中学生みたいな顔で60代のペイジがこの曲を讃えるシーンが
彼が言いたいことのすべてを伝えている気がするのだ。


大事なのは何故そうしたいかだ。
技術じゃない。


エッジがペイジに
「ぼくはキンクスの大ファンで」と告げると
「ああ、キンクスね、おれ結構ギター弾いたよ」とペイジが答える。


初期のキンクスのレコーディングで
重要なリフやソロの多くは
スタジオ・ミュージシャン時代のペイジが弾いたとされている。
たぶんエッジもその風説をわかっていて訊いて
ペイジもわかっていて答えたのだろう。
真実はさりげなく明かされる。
このシーンも印象に残った。


「ギタリスト大喰らい」を著したあのひとにも
是非見てもらわないといけない。


日本での公開間近という話題で思い出した。
映画じゃなくて本の話。


以前にここここで紹介した
パノニカ夫人の本「スリー・ウィッシュズ」、
P-Vine Booksより邦訳が12月末刊行とのこと。


こちらの邦題は
「ジャズ・ミュージシャン3つの願い
 〜ニカ夫人の撮ったジャズ・ジャイアンツ」になったそう。
楽しみです。