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なにかあり/とくになし

フォー・シーズンズVSムッシュ

ずっと見たいと思っていた
フォー・シーズンズのミュージカル
ジャージー・ボーイズ」をようやく見た。


オールディーズ・ファンにはたまらない名曲群を
シンプルで
めちゃくちゃにテンポがよくて
現代テクノロジーも存分に使った構成で
見せる聴かせる
うわさ通りの小気味良さ。


ニューヨークのイタリアン・コミュニティの光と陰や、
才能を持つ者と持たざる者の生き方を
絶妙に絡ませたストーリーラインも
とても説得力がある。


それにしても驚くのは
トニー賞を受賞した
オリジナルのブロードウェイ版だけでなく
世界ツアー版、
ロンドン版、
ウェストコースト版、
ラスヴェガス版など
いくつものキャストが組まれる中で
フランキー・ヴァリの役が出来る若いアクター、
すなわち
ヴァリみたいに歌える連中が
アメリカにはいったい何人いるんだってことだ!


もっとも
ぼくは頭の半分は
別のこともぼんやりと考えていた。


かまやつひろしムッシュ!」を読んでいたせいか、
ムッシュでこれほどの完成度のミュージカルが作られたら、
どれほど次の世代に
とっていいことだろうか、なんて。


芸能とロックのはざまを
絶妙に生き抜いてきたムッシュの人生は
日本の音楽の
ある種いびつな発展の仕方から生まれた鬼っ子であり
もっと言うときわめてクールな批評でもある。


また戦後のジャズやカントリーのブームから
現代までを貫く
日本ポピュラー音楽史にもなりうるし、
米軍キャンプ、キャンティから連なる風俗史にもなる。


ムッシュの見た世界を
ムッシュ狂言回しにして
うまく舞台で表現出来たら
死ぬほどおもしろいだろうな。


問題は
今の日本に
ムッシュみたいな声と雰囲気で歌える役者やシンガーが
はたしてたったひとりでも存在するのかってことなんだけど……。