忘れ物に感謝を

今年最初の買付を終え、
成田に戻る飛行機に乗り込んだ。

ゲートが閉まるアナウンスがあり
あとは離陸を待つだけ……。

ところが
しばらく経っても
飛行機が動き出す気配がまるでない。

やがて
機内に事情を説明するアナウンスが流れた。

今までにも
滑走路の混雑や
機材トラブルで
待ちぼうけをくらったことはあるけれど、
今回の事情にはちょっと、いや、かなり驚かされた。

何と
スタッフの中にパスポートを忘れてきた者がいて、
その替わりに緊急乗務をしてくれる人間を
大至急探しているというのだ。

普通だったら
ブーイングのひとつも起きそうなものだが、
あまりと言えばあまりに間抜けな理由に
乗客もバカ負けしてしまったか、
空気がぷしゅ〜と抜けるような失笑がもれたぐらいだった。

それにしても
そんな忘れ物があるなんてね。

ぼくはと言えば
離陸が遅れたおかげで
シメキリをオーバーしていた原稿を
何とかいくつか書き上げることが出来たのでした。

忘れ物に感謝を。