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なにかあり/とくになし

高いところから失礼しますよ その7

度を越した原理の回転運動よりも
同席した3人の
ちょっと変わった男女関係の方が気になってしまった「インサニティ」。


アトラクションそのものの
真下を向いたまま回り続けるという状況は
確かに異常だが、
遠心力に守られているという安心感もあってか
絶叫というほどまではいかなかった。
残念。


だが
最後に残っているのは
見た目の恐怖ではもっともショッキングな遊具。
「X・スクリーム」だ!


ジェットコースターの直線を
前後でぶったぎって、
その先頭をビルから大きくはみ出させる。



そのレールの上を
ハイスピードでコースターが前後したり。



レール自体ががっくんがっくん上下したりする。



そうだな。


これは
神のつまようじだ!


神が歯の間にはさまった青ネギか何かを
われわれ人間をつまようじ代わりにして
ごしごしと取り除こうとしておられるのだ!
アーメン、ラーメン。


いそいそと乗り場に向かうと
あら? ここも空いてる。


一番こわそうなのに
何故か人気がない感じ。


ぼくの前に並んでいたのは
ドイツ人と思しき男性のふたり連れ。
ひとりは髪の毛もさびしい感じで
年齢で言うとぼくと同じくらいだろうか?
西洋人の歳はわからないから
案外とても若いという可能性もあるけれど。


やっぱりこのアトラクションは
一番前に乗らないと意味がないと思っていたから、
ぼくの前に子どもたちが並んでいないのは好都合だった。


このドイツ人たちは
いいおとなっぽいからまあ
あせって先頭を取りに行くなんてことはないだろう。


ところがどうしたことか。
何の行き違いがあったのか、
それとも酔っぱらっていたのか、
このふたり、
いきなりドイツ語で激しい口論を始めたのだ。


ああもう、
そろそろゲートがオープンするっちゅうに!(つづく)