ゾーイーと心でルビを
吉祥寺に行くときは
赤と黒のシャーピーをカバンの中にいれておく。
だって
いつどこで
楳図かずお先生と出くわすかわからないじゃないか。
今日は遭遇は、なし。
今日も、なし。
吉祥寺ココナッツ・ディスクですこし買物をして
バウス・シアターへ。
「(500)日のサマー」を
ようやく見た。
知人のデザイナー、高瀬康一さんが紹介している文章を読んで
ずっと気になっていたのだ。
再上映で小さいスクリーンとは言え
今日ヒマなこのときがタイミングだろ。
主役の女の子サマーを演じる
ズーイー・デシャネルのことを
アメリカで話題にしようとしたら
うまく通じなくて困ったことがあった。
なんで通じないかと思い
「ほら、シー&ヒムの」と彼女のバンドの名前を出したら
「ああ、ゾーイーね!」とようやく会話成立。
“Zooey”という綴りに“zoo(ズー)”を感じてしまうからか、
それとも“ゾーイー”というカタカナの語感が
いまひとつかわいらしくないからか、
日本では彼女の名前は“ズーイー”になった。
彼女の親がサリンジャーのファンで
「フラニーとゾーイー」に名前をあやかったのが理由なんだから
ここはひとつ“ゾーイー”でいきたいね。
そう言えば
デヴィッド・ボウイもまったく同じ理由で
アンジー・ボウイ(つまり「悲しみのアンジー」)との息子に
ゾーイーと名付けたはずだ。
それにしても
ズーイー(心のルビは“ゾーイー”)演じる美女サマーの
気まぐれで
謎めいていて
深いキズがありそうで
とことんまで薄情で
意図せずリアリストな女という
性格描写のすべてにしびれた。
こういう女の子とつきあいたい。
そしてきっとふられるのだ。
その矛盾した感情を
否定できないのは
ぼくだけじゃないはず……と思って
終映後の場内を見渡したら
ぼく以外、観客は全員女性でした!
シー&ヒムの新譜では
NRBQの「ライディン・イン・マイ・カー」を
カヴァーしているということも高瀬さん経由で知った。
確信犯すぎて
にくたらしすぎる
やな(いい)女。